黒狼記

第十九話 かれこれ四日目

武士を連れて帰ってからというもの、三日が過ぎた。 武士が起きた際に混乱して、蒼あおや椿つばきに襲いかかるかもしれない。 と更子さらこから言われ、二人は会っていない。 容態ようたいもご飯を受け取る時に巫女達から教えてもらうくらいである。 そん...
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第十八話 離れ 其の弍

武士を社務所しゃむしょへと連れて行かれてたから、蒼あおは離れで一人でいた。 する事がないので、今日のうちに出来るだけ勾玉に妖力を注いでおく。 いつでも弓月ゆみづきが仮の姿で動き回れるように。 共に戦えるように。 飛駕山ひがやまで相手の力の一...
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第十七話 褌一丁

武士ぶしをおぶった蒼あおと弓月ゆみづきは、全力で土から逃げ始めた。 土がまるで波のように唸うねりをあげて、迫ってきている。「直じかで見ると圧巻あっかんだな」「たわけ! 後ろを見る余裕があるなら早く走れ!」 弓月の叱咤しったを受けて、蒼はより...
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第十六話 下り道

「まったく、あからさまに心配しおって」 弓月みゆづきは蒼あおが小走こばしりに山道を駆かけていくのを耳にしながらぼやいた。 心配をかけてしまった事は自覚している弓月だが、こうもわかりやすく心配されるとぼやきたくもなる。 昨日も蒼と椿つばきには...
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第十五話 荒れた山道

「鳥居とりいはあれじゃな」 曲がりくねった山道を登っていくと、鳥居が見えた。 大きさのおかげもあり少し遠くとも見える。「ここまでの山道が崩れているのに壊れてないんだな」「移動するためにも建てられたものらしいしの、これきしのことで壊れるように...
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第十四話 飛駕山

「蒼あおさん、起きてください!」「ん? なんだ?」「私、いつの間にか寝てたみたいで……さっき起きて朝だったんですけど!」 朝から椿つばきがあたかも当然な事をとんでもない事が起きたように言ってきた事に、蒼は寝起きの頭で。「おはよう」「あ、おは...
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第十三話 大乱の書物

夕食が運ばれる頃には弓月ゆみづきも離れの中にいた。 運んできた巫女みこたちが弓月に驚きながらも、配膳はいぜんをどうするか悩んでいた。 ただ、仮の姿である弓月にはご飯の必要がない事を伝えると戸惑とまどいながらも納得してくれた。「弓月様の事は更...
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第十二話 離れ

離はなれへと迎え入れてもらった二人は、座敷ざしきに荷物を広げて、少し整理をしてからお昼を食べた。 笹ささの包みには八つのおにぎりと漬物が入っていた。 蒼あおはおにぎりを五つ食べ、椿つばきは三つ食べた。 漬物は食べたいように食べたのだった。「...
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第十一話 丘の鳥居

丘の上の鳥居とりい。 久家神社ひさけじんじゃの入り口にある石造りの鳥居と似ているが、その大きさは二回りほど大きい。 更子さらこが鳥居の前に立ち、鳥居の先にある飛駕山ひがやまを眺ながめていた。 そこに階段を上がって来た蒼あおと椿つばきが歩み寄...
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第十話 久家更子

「御三方おさんかたとこれ以上、立ち話するのは失礼に当たりますね。ささ、こちらへどうぞ。離れがございますからご案内致します」 更子さらこは半身で手を石畳の道へと差し出した。「ありがとうございます」 椿つばきは礼をして、蒼あおは頷いた。 二人は...