黒狼記

第十四話 飛駕山

「蒼あおさん、起きてください!」「ん? なんだ?」「私、いつの間にか寝てたみたいで……さっき起きて朝だったんですけど!」 朝から椿つばきがあたかも当然な事をとんでもない事が起きたように言ってきた事に、蒼は寝起きの頭で。「おはよう」「あ、おは...
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第十三話 大乱の書物

夕食が運ばれる頃には弓月ゆみづきも離れの中にいた。 運んできた巫女みこたちが弓月に驚きながらも、配膳はいぜんをどうするか悩んでいた。 ただ、仮の姿である弓月にはご飯の必要がない事を伝えると戸惑とまどいながらも納得してくれた。「弓月様の事は更...
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第十二話 離れ

離はなれへと迎え入れてもらった二人は、座敷ざしきに荷物を広げて、少し整理をしてからお昼を食べた。 笹ささの包みには八つのおにぎりと漬物が入っていた。 蒼あおはおにぎりを五つ食べ、椿つばきは三つ食べた。 漬物は食べたいように食べたのだった。「...
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第十一話 丘の鳥居

丘の上の鳥居とりい。 久家神社ひさけじんじゃの入り口にある石造りの鳥居と似ているが、その大きさは二回りほど大きい。 更子さらこが鳥居の前に立ち、鳥居の先にある飛駕山ひがやまを眺ながめていた。 そこに階段を上がって来た蒼あおと椿つばきが歩み寄...
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第十話 久家更子

「御三方おさんかたとこれ以上、立ち話するのは失礼に当たりますね。ささ、こちらへどうぞ。離れがございますからご案内致します」 更子さらこは半身で手を石畳の道へと差し出した。「ありがとうございます」 椿つばきは礼をして、蒼あおは頷いた。 二人は...
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第九話 久家神社

翌朝、朝支度をする二人に宿屋夫婦が朝ごはんまで用意して持ってきてくれていた。「ほら、二人とも食べてって!」「そんな、頂けませんよ〜!」「貰って良いのか?」 女将おかみと亭主ていしゅが差し出してきた御膳ごぜんには、川魚かわざかなの串焼きと味噌...
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第八話 ふもとや

「なんだって!? 本当に山の騒ぎをなんとかしてくれんのか!」「あぁ、その為ためにここまで来たからな」 蒼あおは出された夕食に手をつけながら、宿屋の夫婦にそう言った。 それを聞いた夫婦は信じられないと言わんばかりに顔を見合わせた。 ちなみに夕...
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第七話 中山道

瓢ひょうの言う通りに古寺ふるでらまでの道を戻り、飛駕山ひがやまへの道である中山道なかやまどうへと出た。 振り返って見ると、蒼あお達が歩いてきた道は無くなっていた。「結界の外に出たから見えなくなったんですかね」「そうみたいだな」 蒼が道があっ...
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第六話 戸惑い

「弓月ゆみづきさん、大丈夫なんでしょうか?」「わからない」 井戸の近くで敷しき布ぬのに座っている。 目が覚めた椿つばきと一緒に、蒼あおはおにぎりを食べた。 椿は気を失っているうちに弓月が蒼の中で眠りについた事を聞いた。 瓢ひょうへ相談してい...
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第五話 相談

「周りにぬりかべ達と仏像に憑ついた付喪神つくもがみが居るが、気にする事はない。連れの二人に話せぬ相談とやらをしておくれ」 瓢ひょうがそう言うと弓月ゆみづきは静かに頷いた。 ただ、すぐには口を開けずにいる。 他に視線や耳があるからではない。 ...