黒狼記

第三十一話 出迎え

空太くうたと別れてから鳥居とりいまでの間、若藻にゃもは浜太郎はまたろうにそれはもうべったりだった。「みゃぁ〜」「甘ったるい声を出すでない!」「浜太郎を煽あおると雄おすの匂いが強くなるからついみゃ〜」「強くなっておらん! 煽るなでござるよ!」...
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第三十話 洞穴

洞穴ほらあなの広場に着くと、空太くうたは大きな声で。「皆の者! 若藻にゃも様が正気に戻られたにゃ!」 そう言うと、洞穴の中にいた者たちは喜びの声を上げた。 空太の声で視線を向けた者達の中には若藻の人の姿を知っている者もいたようで、名を呼ぶ者...
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第二十九話 事の治り

浜太郎はまたろうが奮起ふんきしたおかげで若藻にゃもは正気に戻った。『浜太郎は良い匂いがするみゃ〜。すんすん、人間臭にんげんくさい感じで、すんすん、マタタビの匂いもするんみゃけど〜……すんすん。みゃぁ〜ん、若藻を誘さそう雄おすの匂いもして堪た...
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第二十八話 化け猫退治

洞穴ほらあなを入って来た方でない所から出て来た二人と一匹は若藻にゃもに見つからないようにしていた。――まず、浜太郎はまたろうには囮おとりになってもらうにゃ。 そう言われた浜太郎は不服であったが、至極適任しごくてきにんだとも思った。 懐ふとこ...
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第二十七話 化け猫の乱心

「空太くうた、待たせたな」「休まれましたにゃ?」「無論! 問題なしでござる!」 浜太郎はまたろうが元気に返事してきた事で空太は満足そうに頷いた。「では、案内しますにゃ」 空太に案内された先に広場の壁に穴があった。 空太はすんなりと入っていく...
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第二十六話 乗り越えるために

蒼あおは背負せおっていた荷物を下ろして、中身を改あらためた。 目当てはもちろん、持たされた大きな葉に包まれたおにぎりと竹の水筒である。 椿つばきが早起きをして握にぎってくれたおにぎりで、荷物に入れてくれていたのだ。 中の具は梅干しだと椿から...
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第二十五話 暗がり

「若藻にゃもが正気でなくて助かった。本来の奴なら、妖術など使わせてはくれんかったじゃろう」 三人は弓月ゆみづきの妖術のおかげで難なんを退しりぞけていた。 『炎気えんき 陽炎かげろう』は幻術。 掛けられた若藻は解けるまで揺らめく弓月たちの幻を...
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第二十四話 大太刀探し

浜太郎はまたろうの匂いを頼りに辺りを嗅かぎ回りながら進む。 狼おおかみの姿になった蒼あおは坂道もなんの弊害へいがいもなく歩いた。 少し土が緩ゆるくとも軽く滑るだけで、四本足で踏ん張ればなんとかなる。『やっぱり、この姿の方が楽でいいな。いつも...
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第二十三話 明朝

明朝みょうちょう。 久家神社ひさけじんじゃ、飛駕山ひがやまの麓ふもとにある大きな鳥居の前にて。 先に更子さらこと浜太郎はまたろうが待っており、弓月ゆみづきと蒼あおと椿つばきが着いた。「御三方、おはようございます」「待っておりましたぞ!」「…...
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第二十二話 大太刀

「そんな事があったんですね」「はい、語られる浜太郎はまたろう様もお辛そうでした」「……ん?」「蒼あお様、どうかして……」 蒼の胸から勾玉まがたまを経由して、弓月ゆみづきが出てきた。 出てきて早々に胡座あぐらをかいた。 蒼と椿つばきはどういう...