第二十二話 鳥籠神鳥祭?

 

鳥籠神鳥祭とりかごしんちょうさい?」
『はい、名前からは想像できないと思いますので詳しく説明を致しますね』
「なんでそんな名前に?」
『見た目と神鳥様への崇拝すうはいからこんな名前になったようで』
「見た目?」
『はい、見えてきました』

 モトさんの背に乗って、ほんのしばらく飛んだ。
 森の中へ入ってすぐにモトさんと同じく視線を向けると、そこには木製の鳥籠に似たものが五つもあった。

「これは……」
『ギスの木の種なんです』
「種? 中身がすっからかんなのに?」
『本当は中身があるのですが、小動物達が器用にも中身だけを食べ尽くすのでこんな有様に』
「言ってしまえば、種の抜けからって事ね」
『そうですね、それではあまりになんで籠と言うようにしています』
「にしても、その小動物達もアタシ達が思ってるよりも大きかったりしない?」

 私達が入れてしまう程の穴が無数に空いてて、中身は綺麗に食べ尽くされているのが見て取れる。
 確かに私たちの想像よりもその小動物は大きい気がしてくるわね。
 
『モト達からしても小動物って見た目ですけど、数が多いから食い荒らす穴も大きくなるんだと思います』
「なら、それを捕まえれば、肉料理ができるのでは!?」
「……食い意地張りすぎよ?」
『モト達は火は好んで使わないので、小動物を狩る事は無いですね』
「そうなんだ〜……オカマって、火魔法使えたよね?」
「諦めなさい。火事にでもなったら大惨事よ」
「ちぇ〜、久々に出来立てのお肉が食べれると思ったのに」
「久々って、こっちに来てまだ一日くらいしか経ってないでしょ」
「だって、美味しいけどきのみと干し肉ばっかりでアタシには物足りないんだもん!」
『確かに王都の食べ物はどれも美味しかったですから、無理からぬ事ですね』
「でしょ!? ほら、モトもこう言ってるし、肉料理作って!」
「ダメよ。そんなことより鳥籠神鳥祭の詳細を教えてちょうだい」
『そうでした……では』

 むくれるスズネを無視して、モトさんも気を取り直して説明してくれた。
 鳥籠神鳥祭は、トーナメント式の武闘会のようなものだった。
 より優れ強い鳥人族を競い合う祭。
 鳥人族が主催する武闘会であることから、籠の中で飛ぶのは自由。
 風魔法や遠距離の攻撃も良しとされている。
 ただし、観客に被害が及ぶ攻撃をした場合はその時点で失格となる。
 また、試合中に籠の外へ全身が出た場合は失格となる。
 相手を降参させる、または、戦闘不能にする事で勝利となる。
 相手を殺害しての勝利は御法度である。
 選手に切り傷や深傷を負うことも禁止されているので鋭利なものも使用不可。
 審判は族長か、族長が任命した代理人が行う事とする。
 一組は五人までの参加、前試合で参加して居れば、乱入も許される。
 
「私達が参加する事でルールの変更点は?」
『ありません。そもそも、他種族が参加してはいけないというルールもありませんでしたから』
「風魔法や遠距離の攻撃は許されてるけど、攻撃以外での魔法は許されるのかしら?」
『ルールに明記されていないので許されますね』
「ということは、スズネお得意の補強魔法は許されるわね」
「やった! アイツにも遅れは取らない!」

 どうしてもチュウヒさんを倒したいのね。
 説明の間にモトさんは戦いの場である籠の中へと入ってくれた。
 モトさんから降りて、中の様子や足場の確認。
 飛べない以上、足場がしっかりしているのかは重要。
 相手は間違いなく飛ぶ事を想定して、籠内かごないの広さも確認。
 外から見るよりも広く感じる。
 この広さなら相手も自由に飛び回りそうね。
 遠距離からの攻撃が認められているなら、相手は飛びながら攻撃してくるかもしれない。
 私達は足場がある分、相手は観客を巻き込む事なくできるから余計にそうしてきそうね。
 こっちは逆に遠距離攻撃は控えるべきね。
 避けられた先に観客が居て、当たりでもしたら失格になる。
 長期戦をしても良いけど、こっちも疲れて次の試合に響くかもしれないわね。

「そういえば、試合は一日に何戦するのかしら?」
『一日に一組一試合だけです。万全ばんぜんな状態で戦って貰わなければ、本来の力が出ないので。あと、昔に連戦していたのですが、試合後に抗議がありましてそうなりました』
「それは大変だったわね」

 選手からすれば、一日一試合なのは有難いわね。
 長期戦も作戦として加えられる。
 あまり取りたくはないけど。

「ねぇねぇ! 二人で戦うのは良いんだよね?」
『問題ありませんよ。五人まで参加できます』
「よし! なら、問題なし! オカマもアイツをボコボコにするの手伝ってよね!」
「ボコボコにするのはともかく、依頼で参加するんだから一緒に出るわよ。そんな事より他にも複数人で参加する組もあるかもしれないって事、忘れないようにね」
「居ても私達なら大丈夫でしょ!」

 ふんすっ!と鼻息を出しながら手を腰に胸を張るスズネの自信はどこからくるのやら。
 ため息も出るってものよ。

「モトさん、他に私達みたいな組は居るかしら?」
『大体はお一人だけの参加ですが、ラースカ連合という組が五人での参加ですね。黒一色の鳥人族達です。良からぬ噂も立ちますが、証拠は掴めない事が多く、手のかかる集団です』
「ラースカ連合……気をつけておかないといけないわね」

 試合に参加するのは五人まで。
 他の仲間が観客に紛れて、私達の遠距離攻撃をわざと当たりにくることがあれば、失格になる。
 それを狙ってくる事も考えておかないといけないわね。

「あと、試合中にスズネが籠の外に出ちゃった場合は次の試合に出れるのかしら?」

 スズネは肉体強化を自分にかけて、籠の中を動き回っていた。
 足場から天井へ、側面に移って反対側へ。
 何度か側面を行ったり来たりすると、ほんの少し籠が揺れる。
 思っているよりも釣り下げてる枝も丈夫そうね。

『全身が外に出てしまった時点で失格になりますから次の試合から出る事はできません』
「もしそうなれば、次の試合からは私だけになるって事ね」

 モトさんは頷いたのでそうなるのだろう。
 その例え話を聞いたスズネが足場に降りてきて、私を睨んでいた。

「そもそも、場外に行かないし、いらない心配!」
「そうなる事を祈るわ」
「ったく……籠の中がどんなのか、わかったし、そろそろ戻ろっか。……そういえば、そのお祭りっていつからなの?」
『明後日からになります。明日はトーナメントの抽選です』
「そうなんだ! なら、今日と明日はトーナメントに備えて準備しておかないと!」
「そうね、抽選はどこでしているの?」
『お父様、族長の家です。不正がないように姉さんとモトも参加しますのでお二人もご一緒に向かいましょう』

 モトさんの話を聞きながらに二人して背に乗った。

「わかったわ、二人となら遅れる事もなさそうで安心ね」
「うっし! アイツを絶対ボコボコにしてやるんだから!」
「さっきからそればっかりね」
「良いでしょ、別に。アイツをボコボコにするのも依頼内容に入ってるし!」
「他にも相手が居るんだから気をつけてかかるわよ」
「わかってるって」
『宜しくお願いいたします』

 そうやりとりして、里へと戻るのだった。

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