第十一話 レッツ! ゴー!

 

   ♧♧♧
 
 あっという間に王都を離れて、草原やら森やら街とかも飛び去っていく。

「すんごい早い! これなら半日で着くんじゃない!?」
『これでもゆっくり飛んでますよ』
「そなの?」
『荷物を運ぶのはもちろん、人を乗せて飛ぶというのは滅多めったにありませんから。こうして手綱たづながあったとしても吹き飛ばないように慎重しんちょうに飛んでいるんです』
「これでゆっくりってアタシ達が乗ってなければ、もっと早いって事よね! モト、やってみてよ!」
『えっと、やめた方がいいと思いますが〜……』
「無茶言わないの、これでも十分早いんだから」
「なにさ、良いじゃん、別に! 減るもんじゃないし!」
「落ちてもしらないわよ」
『里に戻れば、ゆっくりする時間もありますからその時にでも体験してもらえればいいと思いますよ』
「ほんと!? じゃあ、我慢しようかな」
「多分、無理だと思うけど」
「なんでさ!」
「サキさんもモトさんも族長の娘さん達なのよ? 二人が良くても、族長が良しというかわからないわ」
「えぇ〜……なら、今しかない! お昼ご飯食べる時にでもやろ! 木箱を下ろしてからならいいよね!?」
「こういう事には知恵が回るんだから……」
「ね、モト! いいでしょ?」
『わ、わかりました。モトでよければ』
「やったぁ〜!!」

 そんなやりとりから二人の背中に乗って、里へと向かった。
 乗ってるだけってこともあって、途中眠くなったけど、モトがそれに気づいてか話しかけてくれて寝てしまうことはなく済んだ。
 アタシのお腹の虫が鳴くのをサキに聞こえたのか、それを知らされたオカマが「そろそろ一休みしましょ」と声をかけてきた。
 やっとのお昼ご飯である。
 降り立ったのは草のしげる草原。
 木箱からオカマが座るためのシートを出してきて、アタシは草原へいた。
 アタシと、変身を解いたサキとモトは先に座ると、オカマからそれぞれのお弁当が渡された。
 オカマもシートの上に座って、いざ、お昼ご飯!

「さ〜て、ハイネは〜。何を作ってくれたのかなぁ〜?」

 三人よりも一回り大きなバスケットお弁当の蓋を開けると、そこにはぎっしりとサンドイッチが入ってた。
 たまごサンド、ハムサンド、ツナサンド、野菜サンド、ホットサンド、フルーツサンドと六種類のサンドイッチが四個ずつ。
 他の三人には六種類が二個ずつなので、個数のせいでバスケットの大きさを変えてたみたい。

「お〜! 今日はサンドイッチ! ハンバーガーかなって思ってたけど……ハイネってば、手の込んだことして〜」
「厨房から出てくるのが遅かったのはこれを作ってたからね」
「色取り取りで良いですね」
「美味しそうです……じゅるり」
「それじゃあ、頂きま〜すっ!」

 たまごサンドは、ゆで卵をあらつぶして、そこにマヨネーズを和えた具がいい歯応はごたえを伝えてくれる。
 少し辛さを感じるのはマスタードが入っているおかげかもしれない。
 そのおかげで食べ飽きることが無い。
 ハムサンドはハムとシャキッとした歯応えのある野菜と挟まれていて、ハムの旨味と野菜のフレッシュな風味で美味しい。
 ドレッシングも味をまとめ上げるように整えられていて、サラダを食べているような感覚になった。
 ツナサンドはツナとマヨネーズでえられた具だけで挟まれたものと思いきや、細かく刻まれた半透明の野菜がシャキリと歯応えを返してくれる。
 コショウも使われているようでちょっとした香りと辛さが食欲を駆り立ててくれる。
 野菜サンドは、ハムサンドに使われていた野菜が挟まれていた。
 だが、ハムサンドに使われていたドレッシングとは違い、チーズの風味を感じられるものが使われている。
 野菜を食べているのに満足感があるのはこのドレッシングのおかげだとわかる。
 ホットサンドに手を伸ばすと、ほんのりと温かく感じた。

「まさか、出来立てのまま入れた?」

 ホットサンドを持つとやはり熱い。
 持てない程ではないにしても、フルーツサンドの横に置かれたホットサンドが熱いのは良くないと思う。
 少し焦って、フルーツサンドにも手を伸ばすと次はひんやりとした冷たさが手に伝わってきた。

「え? どうなってるの、これ?」

 フルーツサンドを持てば、やはり冷たい。
 果実の具を見れば、凍っていないのはわかる。
 ただ、熱いホットサンドの横にあったフルーツサンドが冷たいのはどう考えてもおかしいよね?

「結界魔法をこんなふうに使うなんて、ハイネさんはやり手ね」
「シグさん、これはどうやってるんですか?」
「サンドイッチを結界魔法の応用で熱や冷気、新鮮さを閉じ込めているわね。こんなふうに使うなんて……魔法技術もだけど発想も素晴らしいわ」

 とか話してるからそう言うことなんだろう。
 アタシにはわからないし、美味しければいいや。
 帰ったら、ちゃんとハイネにお礼言って、また作ってもらお。
 ホットサンドはシンプルにチーズとハムが挟まっていた。
 チーズはとろっと溶けていて、うにょーんと伸ばして伸びたチーズもこぼさず食べた。
 シンプルにおいしいやつである。
 フルーツサンドはいろんな果物が小さく切られていて、クリームと和えられた具が挟まっていた。
 クリームの滑らかな甘さと果物からの酸味や甘味が噛むたびに味わえて食後のデザートにもってこいね。
 一通り一切れずつ食べてから思い思いに手を伸ばして食べていっていたら、食べちゃってた。
 
「ご馳走様! 全部美味しかった!!」
「ちゃんと味わって食べなさいよ……」
「失礼な! ちゃんと味わって食べました〜。その疑いの目をやめて。アタシからしたら三人が味わい過ぎだと言いたいわ」

 三人のお弁当を見れば、六個目を食べたか食べてないかくらいなものだった。
 みんな、遅過ぎ。

「そんなに遅かったら、ハイネに失礼ってもんよ。アタシなんておかわりまで頼むくらいよ」
「……もう少しゆっくり食べる事を覚えさせるべきね」
「オカマ、アタシを犬か何かと思ってない?」
「間違いないでしょ?」
「違うでしょうが、どう考えても! こんなのは放っておく事にして、二人とも早く食べて、試したい事があるんだから」
「乗せてもらっておいて、辞めなさい。二人には休んでもらうんだから」
「オカマは黙らっしゃい!」
「「ゆっくり食べたいです」」
「……二人がそう言うなら腹休めがてらゆっくり待ちます」

 オカマから疎ましい視線を感じたけど、無視して草原に身を委ねる事にした。
 サキとモトが食べ終えて、ゆっくりした後に試したい事をやらせてもらった。
 片付けはオカマに任せたせいか、またジトっとした視線を向けられた。

「二人を疲れさせるんじゃないわよ」
「わかってるって。だから、ちょっとだけしか試してないじゃん!」
「まったく……」
『そんなに疲れてませんから大丈夫ですよ』
『モトも楽しかったです』
「ほら、二人もこう言ってるし、問題な〜し!」
「はいはい、里に向かうわよ。二人ともまたお願いするわ」
『『はい』』

 そうしてモトの背に乗って、オカマを乗せたサキを後ろに鳥人族の里へ。

「レッツ! ゴー!」

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