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黒狼記

第十六話 そうは問屋が卸さない

「これから色々大変そう……義弟おとうと、頑張れ」 白理びょくりは蒼あおの背中を叩いた。 そのあと、叩いた場所を優しく撫でた。「ありがとう」 その優しい応援に微笑ほほえみかけた。「蒼くんの意志は十分わかりました。出来ることなら私としても旅の手...
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第八話 村へ案内

「そんな大声で叫ぶでないわ、たわけ!」「ご、ごめんなさい。あまりにも驚いてしまって……」 弓月ゆみづきは狼耳おおかみみみを手で押さえて、椿つばきに吠ほえた。 怒られた椿は体を少し跳ねさせて、俯うつむいた。 それを見てため息つきながら、狼耳か...
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第十五話 結晶の理由

「さて、蒼あおくんに結晶の中をお見せしたので、しっかりと封印を施ほどこすとしましょう」 皓月こうげつは目まで隠していた鉢巻を外した。 その鉢巻はちこきを袖口そでぐちに仕舞しまう。 皓月の隠れていた目は真っ白だ。 しっかり見ると、瞳孔どうこう...
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第十四話 離れ堂へ

廊下ろうかを道なりに進んでいくと、外に面した廊下へと出た。 夕日の橙色だいだいいろに照らされた廊下の先には、本堂ほんどうから離れた堂どうへと続いている。 左側を見ると屋根が五つ連なっている塔があり、右側には小さな堂がある。 ただ、どちらにも...
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第十三話 これでも姉妹ですから

「白狼妖怪はくろうようかい……」 蒼あおはその言葉を咀嚼そしゃくするように呟つぶやいた。 その目もどこか遠くを見つめている。「聞いた事がない……という反応ですね。無理もありません、私たちは」「いや、知らないわけじゃないんだ。俺の姉ちゃんがア...
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第十二話 腹が減ってはなんとやら

目覚める時のような微睡まどろみを感じながら薄く目を開けた。 視界がぼやけて、身体から少し怠だるさも感じる。 そのおかげで自然と瞼まぶたが降りてきた。「……そうか、身体に戻ったのか。にしても……」 なんだか心地が良い。 まるで干したての布団の...
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第十一話 次の目的地

「そうなるだろうとこちらも考えておりました。春芽はるめ、夏葉なつめ、例の物を取ってきてください」 政元まさもとの言葉で二人は立ち上がって、襖ふすまを開け、部屋を出ていった。 「弓月ゆみづき様、次の目的地はどこに?」「そうじゃな……まずは、こ...
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黒狼記 壱 妖怪の先祖と旅をするそうです 第一話 三度笠さんどがさと縞合羽しまがっぱ第二話 おむすび と 地図第三話 東北東の山へ第四話 茶屋の看板娘第五話 疑い と 茶屋の鬼第六話 黒狼の先祖第七話 黒狼 と 赤鬼第八話 村への案内第九話...
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第十話 昔 と 目論見

「わかった、よろしく頼む。……いきなりで悪いんじゃが……ん?」 弓月ゆみづきが話そうとしたが、政元まさもとの後ろの二人がこそこそと話しているのが聞こえてきた。「あれ? ねぇ、春芽はるめぇ? ……なんか、ゆみづきさまのかたにいるんだけど、だい...
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第九話 村長の家

茶屋の山から見ていた通り、田畑が目立ち始め、さらに道なりに進むと村へ着いた。 軽鎧けいよろいの一団も追い抜かし、その際に少し騒いでいたがまたしても弓月ゆみづきは気に留めなかった。「ふむ……体はまずまずと言ったところか。さて、村とはここじゃな...