2025-10

名もなき世界の何でも屋

第二話 歳が十八になった時に

   スズネがぐっすりと寝た次の日。 リンネから魔法を教えてもらう事になったスズネだが。 魔法の勉強が理解できずに火をばーん!どかーん!もいたいのいたいのとんでいけー!も覚えるのを早々にあきらめていた。 「それじゃあ、違うやり...
名もなき世界の何でも屋

名もなき世界の何でも屋 Ⅰ

第一話 「なんでもや」さんになる! 「暇ひま……」  自宅兼事務所。 その接待室で立派な机の上に足を乗せ、椅子を傾けてぎーこぎーこと揺らした。 別に揺籠ゆりかごではないから全然心地よくはないし、暇潰しにもならないどうしようもな...
黒狼記

第二十六話 旅支度と旅立ち

   鉄慈てつじから椿つばきを旅に連れていく許ゆるしをもらった次の日、蒼あおは春芽はるめと夏葉なつはに連れられ、村の市場で旅に必要なものを買いに出ていた。 「あおさん、これなんてどうでしょう?」「あお! これなんてどう!?」 ...
黒狼記

第二十五話 家族、水入る?

   獄舎ごくしゃから政元まさもとの家へ帰ってきた弓月ゆみづきは踏石ふみいしの上を見た。 そこには出て行く前にはなかった一組の草履ぞうりが増えていた。 「む、この草履は……」  弓月も草履を脱ぐとそのまま、鉄戒てっかいと...
黒狼記

第二十四話 けじめ

   弓月ゆみづきは「悪い奴が捕まっとる場所」である獄舎ごくしゃーー現代で言うところの刑務所ーーへと向かう。 門を出て右へ。 しばらく歩いて、突き当たりを左へと曲がった。 すると、家々が立ち並ぶその奥に木で作られた塀へいが見える。 ...
黒狼記

第二十三話 騒がしい朝

    夜が明けて、襖ふすまの開いている部屋の中を陽ひの光照らし出した頃に蒼あおは目を覚ました。  雀すずめの囀さえずりも聞こえてくる。 少し辺りが騒さわがしい気もするが、そこまで気になる程でもなく、むしろ、心地良さを感じていた。 ...
黒狼記

第二十二話 折れた角の事情

   村までの道のりで蒼あおと椿つばきの間で会話はなかった。 村に着く頃には、空は星が見える程に暗くなっていた。 村の中は静かで、村の人たちの寝息が聞こえてくるのではないかと思えるくらいである。 その中、足音と荷台を引く音だけが響い...
黒狼記

第二十一話 戦いの後

  「蒼あおさーん! 多分、この辺りだと思うんだけど……」  椿つばきは軽鎧の者たちと合流して、また茶屋の裏手の竹林に戻って来ていた。 蒼の助けで山を降りようとしていた所に軽鎧けいよろいのものたちと出会でくわして、茶屋へと案内...
黒狼記

第二十話 岩と風の戦い

  「ぬかせ」  蒼あおの言葉を鼻で笑ってから、力地りきじはしゃがみ込んで地面に拳を突き立てた。 すると、地面が揺れ、蒼の足元に大きく尖とがった岩が突き出てきた。 蒼は紙一重で避けると、三回の後方転回。 所謂いわゆる、バク転を...
黒狼記

第十九話 賊の鬼と黒狼

   逃げ延のびた賊ぞくは、息を荒あらげながら燃える茶屋の裏手うらてにある竹林たけばやしへと駆け入った。 茶屋の裏手の竹林は竹がまばらに生えているからなのか。 中へ入ると外見よりも広く感じられる。 生い茂しげる竹林の中にある明かりへ...
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