2026-01

名もなき世界の何でも屋

第九話 贅沢言わないでちょうだい

鳥人族姉妹ちょうじんぞくしまいの添い寝騒動はすぐに落ち着き、明日の旅路の準備となった。 ハイネさんの賄まかないのおかげでスズネの機嫌は治ったのは大きい。 難癖なんくせつけて要らないものを買わされそうな気がしていたから無駄な出費が減るのは大変...
名もなき世界の何でも屋

第八話 やっぱり先に出てきちゃうよねぇ〜

締しまりきった天板てんばんのような扉を前に二人は立っていた。 ここが開くのはもちろん外へ出る時だけ、リンネは敵の迎撃げいげきのために何度か出ているが、シグにとっては両親に放り込まれてから一度も出た事はない。 陽ひの光はリンネと出会った時に浴...
名もなき世界の何でも屋

第七話 師匠、これは……

リンネとシグが両者見合って、二人とも同じ構えをとっている。 鏡に写したように構える二人。 リンネが右利きに対して、シグは左利き。 都合上、片腕よりも低く構えたその利き腕はここぞという時に振るわれる一撃のために力を留める。 静かにゆっくりと。...
名もなき世界の何でも屋

第六話 とっておきの方法を伝授するね

地下図書館の本棚が少ないひらけた場所。 そこに焼き焦こげた紙が落ちていた。 魔力切れが起きる前に燃えようとした残骸ざんがい。「じゃあ、シグくんにとっておきの方法を伝授するね」「とっておき?」「はい、これ」 左の掌てのひらを支えられ、リンネの...
名もなき世界の何でも屋

第五話 遅い子は置いてっちゃうぞ〜?

シグが一人で寝るようになってから数日。 食べ物はリンネと同じ物を食べるようになった。 会話も添い寝騒動から問題ないと判断され、冗談混じょうだんまじりの事や魔術の小難しいところまで話すようになった。「この完全栄養エステラルポーションって、師匠...
名もなき世界の何でも屋

第四話 強くなりたいです

引き続き彼の身体のリハビリは次の段階へ上がった。 食べ物は徐々じょじょに咀嚼そしゃくが必要なものになり、リンネとの会話も初級魔術や亜人種あじんしゅの種類の話などが話題に出てくるようになった。 話題によっては、彼が頭痛を訴うったえ中断する場面...
名もなき世界の何でも屋

第三話 辛いだろうけど、頑張って

無理矢理に薬を飲まされてから三日目に差し掛かろうとしていた時に彼はパチリと目を覚ました。 天井は石造りで、傍そでに小さな机。 机の上に蝋燭ろうそくが一つ灯されているだけの薄暗い場所で目が覚めた。 横になったままに辺りを見ても、彼女の姿はなく...
名もなき世界の何でも屋

第二話 その為に来たのだから

どうしてこんな事になったのだろう。 両親に地下図書館へ放り込まれてから何日経ったかわからない。 我が子を守る為に両親はここへ放り込んだ。 ならば、片親だけでも一緒にいるのは不都合だったんだろうか。 万全ばんぜんを期きす為ために。 敵を倒す為...
名もなき世界の何でも屋

名もなき世界の何でも屋 Ⅱ

第一話 夜更かしはお開きね 「それで〜……オカマと一緒に〜……ハイネが作ってくれた、この事務所を……」  スズネが鳥人族ちょうじんぞくの姉妹。 姉のサキと妹のモトに何でも屋ができた話をしていた。 姉妹の姿は鳥人に近い姿ではなく、人の姿だ。「...
黒狼記

第四十四話 次の旅へと

季喬ききょうの所から預けていた荷物を受け取り、帰ってくると天明てんめいが家でゆっくりとお茶を啜すすっていた。 「何はともあれ、無事に勾玉は清められ、藤祭ふじまつりは閉幕。いやはや、何より何より。弓月ゆみづき様方もお疲れ様でございました。姿も...